WAX GREAT REISSUE 2016
ヴァイナルでついに復刻!!
1987年に日本初のパンク・オルタナティブ専門レーベルとして徳間ジャパン内に設立されたWAXレーベルは、80年代初頭に同時多発的に出現し、カオティックな状態にあったインディーレーベルの音源のサルベージを行いつつ、FRICTIONをはじめとするニューレコーディングも行いました。
今回、そのアーカイヴの中から”THE STALIN” ”INU”等々、当時の音楽シーンに大きな衝撃をもたらしたマスターピース22タイトルを、高音質にこだわった180グラム重量盤、更にジャケットは英国盤に倣ったE式PP貼りの限定生産のアナログ・レコードとして復刻致します。
また、オリジナル盤がCDリリースであった6タイトル(カーネーション 「エレキング」「天国と地獄」、町田町蔵+北澤組「腹ふり」、FRICTION 「DUMB NUMB CD」、面影ラッキーホール「代理母」「音楽ぎらい」)は今回が初のアナログ化となります。
「音楽には二種類しかない。『WAX』か『そうじゃない』かだ。と某ピアニストが言ったかは定かではないが、今を見渡せば自ずと答えは出てくるはずだ。」(評論家/脇山浩一)
「日本のパンクやニュー・ウエイヴの歴史を語るにあった絶対欠かせないのがWAX RECORDS/徳間ジャパンである。メジャーとはいえ新しいロックの動きに敏感で、しかもインディにはないメジャーならではの配給体制を持つ同社の果たした役割はきわめて大きい。今回の再発ラインナップを見ても、その重要性は明らかだろう。これを機にもう一度歴史を紐解き、未来に思いを馳せたい。」(評論家/小野島大)
THE STALIN 「STOP JAP」 (オリジナルリリース:1982) TKJA-10071 / \3,790+税
THE STALIN 「虫」 (オリジナルリリース:1983) TKJA-10073 / \3,790+税
THE STALIN 「FISH INN (RE-MIX)」 (オリジナルリリース:1986) TKJA-10072 / \3,790+税
THE STAR CLUB 「HELLO NEW PUNKS」 (オリジナルリリース:1984) TKJA-10074 / \3,790+税
THE STAR CLUB 「PUNK! PUNK! PUNK!」 (オリジナルリリース:1985) TKJA-10075 / \3,790+税
カーネーション 「GONG SHOW」 (オリジナルリリース:1988) TKJA-10076 / \3,790+税
カーネーション 「エレキング」 (オリジナルリリース:1991) TKJA-10077 / \3,790+税
カーネーション 「天国と地獄」(2枚組) (オリジナルリリース:1992) TKJA-10078 / \5,700+税
INU 「メシ喰うな!」 (オリジナルリリース:1981) TKJA-10079 / \3,790+税
あぶらだこ 「(木盤)」 (オリジナルリリース:1985) TKJA-10080 / \3,790+税
あぶらだこ 「(青盤)」 (オリジナルリリース:1986) TKJA-10081 / \3,790+税
あぶらだこ 「(亀盤)」 (オリジナルリリース:1989) TKJA-10082 / \3,790+税
P-MODEL 「Perspective」 (オリジナルリリース:1982) TKJA-10083 / \3,790+税
P-MODEL 「ANOTHER GAME」 (オリジナルリリース:1984) TKJA-10084 / \3,790+税
THE STALIN 「FOR NEVER」(2枚組) (オリジナルリリース:1985) TKJA-10085 / \5,700+税
町田町蔵+北澤組「腹ふり」(2枚組) (オリジナルリリース:1992) TKJA-10086 / \5,700+税
THE STAR CLUB 「RADICAL REAL ROCK」 (オリジナルリリース:1989) TKJA-10087 / \3,790+税
FRICTION 「REPLICANT WALK」 (オリジナルリリース:1988) TKJA-10088 / \3,790+税
FRICTION 「DUMB NUMB CD」(2枚組) (オリジナルリリース:1990) TKJA-10089 / \5,700+税
面影ラッキーホール 「代理母-1」 (オリジナルリリース:1998) TKJA-10090 / \3,790+税
面影ラッキーホール 「音楽ぎらい-2」 (オリジナルリリース:1999) TKJA-10091 / \3,790+税
アレルギー 「El Dorado」 (オリジナルリリース:1985) TKJA-10092 / \3,790+税
THE STALIN / STOP JAP
1982年発表。オリコン・チャート最高位3位を記録し、日本中にパンクの衝撃を広げたTHE STALINの傑作アルバム!!
本作はパンク・バンドとしてのスターリンの魅力を過不足なく伝えるものだった。平たく言えば、わかりやすくてかっこいい。歌詞はやや難解でドロドロとした情念を感じさせるが、キャッチーなパンチライン続出の寸鉄人を刺すインパクトは凄まじく、曲調はわかりやすく簡潔でかっこよくて、自分にもできると思わせてくれる。スターリンはポップ・カルチャーが広まる条件を兼ね備えていた。しかも歌詞は年を経るにつれて理解度が深まっていくような、さながら現代詩のような奥深さをもっている。彼らの影響力は、12万枚というセールス枚数をはるかに上回る大きさだったはずだ。(小野島大)
THE STALIN / 虫
1983年発表。オリコン・チャート最高位2位を記録した、日本におけるパンクの象徴的存在THE STALINの最高傑作!!
諸説あるが、本作をザ・スターリンの最高傑作に挙げるファンは多い。私もその意見に同意したい。理由のひとつは、サウンド・クオリティの向上だ。音が太くなり、中低域のエネルギーが増した。メンバー自身の経験値の向上が大きかったのだろう。音楽的にはちょうど全盛期だったディスチャージやGBHなどのUKハードコアの影響でサウンドが分厚くなり、畳みかけるような演奏の迫力もスピード感も圧倒的に増し、音質の向上とあいまって、前作よりもはるかにヘヴィでストロングで性急で切羽詰まったパンク・ロック・アルバムとなっている。「天プラ」や「泥棒」を初めて聴いた時のインパクトは今思い起こしても凄かった。(小野島大)
THE STALIN / FISH INN (RE- MIX)
1986年発表。ビル・ラズウェルが総指揮を執り、THE STALINを解体・再構築した、パンクの意義を自ら問う問題作!!
本作は単純なリミックスというより、楽曲そのものを磨き直し組み替える、リコンストラクションに近い作業だった。「Helth & Art Consultant」とクレジットされたラズウェルは制作作業の総指揮のほか、自身でもベースを弾き、さらに彼の盟友でもあるソニー・シャーロックがギターで参加、そしてタイトル曲では難波弘之がアレンジを担当、エンジニアはラズウェルの片腕ロバート・ムッソが手がけ、銀座の音響ハウス・スタジオで作業が行われた。遠藤のヴォーカルも一部録り直されているようだ。その結果、オリジナルの良さを損なわない程度に適度な化粧を施すことで、オリジナルの良さをブラッシュアップした内容となっているのである。オリジナルの価値はもちろん不変であるにしろ、本作こそが『FISH INN』プロジェクトの決定版、としても差し支えないだろう。ともあれバンド史上最大の問題作であり、その後の遠藤の歩みから見ても分岐点となったこのアルバム。また再評価されることになるはずだ。(小野島大)
THE STAR CLUB / HELLO NEW PUNKS
1984年発表。THE STAR CLUBがロック史上に遺した、もっとも美しく凶暴で、そして健やかなアルバム
この『ハロー・ニュー・パンクス』からは、メジャーの音楽産業のシステムに挑み、確信をもって自分たち自身を貫き通そうとする青年たちの、しかし決して硬直することなく自由で柔軟な、いっそ爽やかと言ってしまいたいほどの開放的な熱気しか感じとれないのだ。その意味でこれは、いまのヒカゲにも、スタークラブにも、そしてもしかしたらほかの誰にも再現不可能な世界なのかもしれない。驚いたのは、ほとんど数年ぶりに聴いたこのアルバムから、かってこのアルバムを初めて聴いたときに感じた震えるようなスリルを、同じように読みとることができたことだ。いまこのアルバムが再発される意義とは断じて単なる歴史の掘り起こしではない。このアルバムは、この音楽はまだ生きている。瑞々しく逞しい生命を保ち続けている。それが、このアルバムを手にしている人たちすべてに力を与えることを、心から願っている。(小野島大)
THE STAR CLUB / PUNK! PUNK! PUNK!
1985年発表。THE STAR CLUBの最高傑作であり、日本のパンク史上5本の指に入る歴史的名作
本作は曲調もそうだが、歌詞もまた直截なパワーに満ちている。文学的な気取りやもって回った言い回しなど微塵もなく、斬りつけるような生々しい言葉が深々と突き刺さってくる。「パワー・トゥ・ザ・パンクス」や「ゴー・アヘッド」など、一歩間違えば陳腐そのものの人生応援歌なのだが、そうした揶揄をギリギリでかわしているのは、ヒカゲの詩作の巧みさであり、バンド一体となった分厚くエネルギッシュなサウンドであり、なにより「孤立を恐れる」ことなく「絶望を恐れる」ことなく、前に前に突き進もうとする彼らの「気負い」である。健やかでまっすぐで、そしてリアルな表現としてこの『パンク! パンク! パンク!』は強力そのもののパンク・ロック・アルバムに仕上がっているのだ。(小野島大)
カーネーション / GONG SHOW
1988年発表。カーネーションがWAXに遺した3部作の第1弾作品!
ロックは矛盾だらけだ。その矛盾と真っ正面から対峙しなければロックを掴み取ることは出来ない。先達を例に出せば、はっぴいえんどしかり、はちみつぱいしかり、日本語とロックとの格闘を終えなければ先へと進むことは出来ない。これもたぶん矛盾になるが、あえて日常の風景に埋没していくこともロックへの道となる。これらの葛藤と冒険が最も顕著にでたのが、WAX/徳間ジャパン時代の『GONG SHOW』(88年)、『エレキング』(91年)、『天国と地獄』(92年)の三作であると思う。そこには完成度の非常に高い模索と後先を考えない実験とが、怒濤のように記憶されている。(小川真一)
※本作品の収録曲順はオリジナル・アナログ盤の曲順を反映させています。ジャケット、歌詞カードの表記とは異なっておりますのでご了承下さい。
カーネーション / エレキング
1991年発表。カーネーションのポップセンスが如何なく発揮された永遠の名作!
この『エレキング』は、王道の美学を再確認しているようなところがある。その王道を凡庸なクリシュとみるのか黄金比とするのかで捉え方が違ってくるが、「マイ・フェイヴァリット・ボート」はまさに王道ロックの様式を活用しながらも、全てを異なった色に塗り替えている。これは、キーボード・アレンジメントの勝利と行ってもいい。その荘厳な響きの中をギターが切り裂いていく。そして、タイトル・トラックになりそこねた「ロック・ゾンビ」の饒舌なリズムの応酬からは、パンクの隔世遺伝のようなものが感じられる。 (小川真一)
カーネーション / 天国と地獄 (2枚組)
1992年発表。日本語ロックが到達した最高地点を示す傑作アルバム!
まるで天命がごとく、何ものかに突き動かされるように傑作を作ってしまうことがある。作っている最中は無我夢中で、出来上がったものを聴いて吃驚。ビーチ・ボーイズ/ブライアン・ウィルソンの『ペット・サウンズ』や、ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』なども、そんなアルバムではなかったかと思う。ならばこのカーネーションの大傑作アルバム『天国と地獄』も、この系譜に入れておこう。(小川真一)
INU / メシ喰うな!
1982年発表。日本中を挑発した問題作。パンク誕生の瞬間を告げるアルバム!
これほどフリーキーなポップ感がハジけていて諧謔と挑発が炸裂した音と曲と詞のアルバムは、今も当時も過去も世界中のどこにもない。ポスト・パンクもパワー・ポップもどつきまわした80年代初頭のパンク・サウンドである。キャッチーとも言えるソング・ライティングも光るが、そもそもパンク・ソングはキャッチーなのだ。初期INUのミニマルな反復ナンバーの名残の町田が作った曲と、パンチの効いたサビのある構成がクールな他のメンバーが書いた曲とのバランス感も、当時のINUのチャーム・ポイントである。音も曲も歌詞も遊び心がハジけているにもかかわらず甘えがない。同時代の英国のバンドThe POP GROUPとの接点も見えてくる触発のためのロックだ。というわけで日本のロック/パンク云々の括りなんか百万光年突き抜け、世界規模でも永遠の名盤なのである。(行川和彦)
あぶらだこ / (木盤)
85年発表。異端派カルト・パンク・バンドあぶらだこの傑作ファースト・アルバム 。通称「木盤」
本作参加のドラマー吉田達也の抜けが良くハジけたビートで初期あぶらだこのパンク風味をキープしつつ、後に多数のバンドで露わにする吉田得意の変拍子も炸裂。祭り太鼓みたいな“躁テイスト”のリズムもハマり、あぶらだこ史上最もキャッチーでロックなダイナミズムに溢れている。ハイペースでのレコーディングゆえのストレートな衝動性が真空パックされ、スコーン!と開けてもいる。作曲者ヒロトモの天然ポップ・センスも光る傑作。[木盤]と呼ばれる本作の表裏のジャケットは東京・吉祥寺の井の頭公園で撮られた写真である。中心部から離れたひと気のない場所だと平日の昼間や深夜から早朝にかけてはこの写真どおりに不気味ながら光も見えてくる空間で、本作に似つかわしい。(行川和彦)
あぶらだこ / (青盤)
86年発表。異端派カルト・パンク・バンドあぶらだこの傑作セカンド・アルバム 。通称「青盤」
紙情報と口コミが頼りの時代ならではのことだが、通称[青盤]のこのアルバムはリリース前から謎めいていた。最初は、昔からサブカル情報を扱っていた流れで80年代初頭からインディのロックを紹介していた宝島誌が85年に始めた、日本最初の“企業インディ・レーベル”のキャプテン・レコードから出る予定だったが、発売は難航。結局当時インディとメジャーの間に位置していたミュージック・ヴィジョンから発売された.。本作は以前のスピード感がキープされているとはいえ、頓智混じりで脱臼しながらハードコア・パンクにフリー・ジャズの加速度がプラスされたみたいに震えながら走る。あぶらだこは即興風に聞こえる部分も事前に決められたフレーズが基本的にプレイされ、ほとんどの曲はヒロトモが作ったベーシックなラインに沿って仕上げられている。だが本作は、高柳昌行をはじめとするイズミのジャズ/インプロヴァイザー好きの音楽性がこれまで以上に応用されており、だから以前の作品よりも複雑なテクスチャーの音像になった傑作。(行川和彦)
あぶらだこ / (亀盤)
89年発表。異端派カルト・パンク・バンドあぶらだこの傑作サード・アルバム 。通称「亀盤」
本作はパンク・ロック調の前のめりのパートが減り、あぶらだこ独特のユニゾン・スタイルが目に見える形でレコーディングされたのもポイント。以前から定評のあるまろやかなヒロシのベースも冴えわたり、盲目のジャズ・ピアニストのレニー・トリスターノを好むイズミの音楽趣味も叙情的なギター・フレーズに表われている。そして長尺ラスト・ナンバーの「焦げた雲」は、永遠に続くことを懇願したいほどフェイドアウトが恨めしい“福音(ふくおん)”である。あぶらだこは昔からポップな魅力を秘めているが、親しみやすい本作からのめり込んだ方も多い。そんな感じでファンは津々浦々に存在する。すべてあぶらだこの恐るべき奥深さを示す事実である。(行川和彦)
P-MODEL / Perspective
1982年発表。“早すぎた異端児”P-MODELの屈指の傑作アルバム!
本作はマンドレイク時代からの「プログなまり」が、ニュー・ウエイヴ~オルタナティヴの時代を迎え、より強力にアップデートされたという印象もある。いわばルーツであるプログレッシヴ・ロックの誤報をニュー・ウエイヴ以降の音響手法とビート感覚で処理したような作品であり、」P-モデルにしかできない、P-モデルだからこそなしえた真のオリジナリティの確立が本作なのだ。時代の激動と真正面から対峙し、ときにシンクロしときに激しく反発しながら作り上げた生々しい証言、という点で本作こそがP-モデルの最高作と断言したいし、紛れもなく時代の産物でありながら時代を超えた衝撃と、ヒリヒリするような苛立ちと焦燥感を今もなお生々しく伝えてくるという意味でも、80年代の日本、いや世界のロックを代表する傑作と言い切りたい。(小野島大)
P-MODEL / ANOTHER GAME
1984年発表。“早すぎた異端児”P-MODELの衝撃の問題作!
本作は、バンド中期の最高傑作であり、日本のパンク/ニュー・ウエイヴ史に残る名作との評価は揺るぎない前作『パースぺクティヴ』に続く作品である。マンドレイク時代からの盟友・田中靖美が脱退し、後任に三浦俊一が加入している。メンバーは平沢進 (vo,g,synth)、菊地達也(b,vo)、三浦俊一 (kbd)、田井中貞利 (ds)というラインナップである。蔦木栄一(突然段ボール)と高田真由美(非A)がゲストで参加している。1曲を除き全曲が平沢の作詞作曲で、残る1曲は「Bike」はシド・バレット在籍時のピンク・フロイドの日本語カヴァー「Bike」(アルバム『夜明けの口笛吹き』収録)である。平沢以外のメンバーが一切曲作りに関わっていないアルバムは本作だけで、この時期のP-モデルは平沢のワンマン・バンド化が進んでいたとも言えるし、本作は平沢個人の内面世界がかってなく強く投影された作品とも言えるだろう。(小野島大)
THE STALIN / FOR NEVER (2枚組)
日本のパンクのアイコン、ザ・スターリンの解散ライブを収録!
稀代のバンドの葬送を異様な熱気で伝えるライブ・アルバム!
本作はザ・スターリンの解散ライブとなった1985年2月21日、東京調布大映撮影所に於ける演奏を収録したライブ・アルバムである。3か月後の5月に同ライブを収録したビデオ『絶賛解散中』(『爆裂都市 BURST CITY』の石井聰互が監督)と同時発売された。メンバーは遠藤ミチロウ(vo)、小野昌之(g)、イヌイジュン(ds)に加え、ゲスト・プレイヤーとしてヒゴヒロシ(b)が参加している。これがこのままザ・スターリンの最終ラインナップということになる。(小野島大)
町田町蔵+北澤組 / 腹ふり (2枚組)
1992年発表。日本語とプリミティヴなファンクネスが高次元で融合した最高傑作!
本作はパンク歌手としての町田がネクスト・ステップに進んだ作品だ。町田曰く「北澤組っていうのは比較的みんな“土人”で(笑)、(INUや至福団で使っていた)電子音などの音がダメだっていう人が多い」とのことだが、それを強みにした北澤組からのインプットで町田の奥深くに潜んでいたプリミティヴなグルーヴが引き出されている。反復を多用するブラック・ミュージックからの影響が大きい楽曲とゆったりした音で歌を展開していく作りは、以降の町田への影響も大だ。 (行川和彦)
THE STAR CLUB / RADICAL REAL ROCK
1989年発表。WAXレーベル時代のベスト音源、レア音源をリテイク・リミックス。チャートインも果たした“もうひとつの顔”とも言えるアルバム!
もちろんこれは単なる憶測なので、本当のところは知らない。だが、オリジナルよりもはるかに迫力を増し、バランス感覚にも優れ、さらに曲の並びもばっちりと決まった本盤を聴くと、これこそが彼らが本来実現したかったサウンドなのではないか、という思いは強まる。もちろん、それで『ハロー・ニュー・パンクス』や『パンク!パンク!パンク!』の価値が下がるわけではない。これはいわば、ありうべきもうひとつのスタークラブの歴史なのだ。(小野島大)
FRICTION / REPLICANT WALK
WAXレーベルの命名者であるレック率いるフリクションの3枚目のオリジナル・アルバム。
ポリリズムと轟音が有機的に結合する圧倒的音像美が完成!
ほとんどがリフとリズムだけで成り立っているような音楽だが、がっちりと組み上げられた堅牢な高層建築のような音像の存在感は圧倒的にすごい。楽器ソロがなく、編拍子の複合リズムによる鋼鉄のようなビートを軸に反復リフがミニマルに展開していく。このハードな音像は、ちょうど全世界的に盛り上がりを見せつつあったオルタナティヴなロックな流れを反映したものと言えるが、逆にその動きにフリクションが与えた影響も大きかったはず。本作はフリクションのアルバムで初めて海外発売されており、実際、89年に結成されたミネアポリスのヘヴィ・ロック・バンドが本作をヒントにしたのではないかという指摘は当時からあった。(小野島大)
FRICTION / DUMB NUMB CD (2枚組)
90年代の幕開けを告げる“ダンス・ミュージック”としてのフリクション。
オリジナルメンバーのラピスが復帰し、もうひとつの絶頂期と呼ばれるツイン・ギター態勢で制作された轟音ライブアルバム!
本作のもうひとつの肝は「ダンス・ミュージックとしてのフリクション」というタームだ。ストレートなリズム・アレンジに改編された「クレイジー・ドリーム」が典型的だが、『レプリカント・ウォーク』の変拍子を主体とした複雑なリズム・アレンジから、速いエイト・ビートを主体とした曲が目立つ。シンプルな反復こそがダンス・ミュージックの、そしてテクノの本質である事を考えれば、ここでフリクションがやっているのはビル・ヘイリーやエルヴィス・プレスリー以来のロックンロールの伝統であるダンス・ミュージックそのものであり、また人力のテクノ・ミュージックである。ダンスとロックの融合・・・なんてお題目が唱えられ、それらしいバンドが英国から登場するのは90年代を過ぎてからの話だが、フリクションはその先駆でもあった、ということになる。(小野島大)
面影ラッキーホール / 代理母-1
故・吉本隆明氏をして「うますぎるほどの物語詩の作り手だ」と言わしめた
下世話なストーリーテリングが衝撃を呼んだ1998年発表の1stアルバム!
例えばこうだ。テレビ番組の1ジャンルである「ワイドショー」が読んで字の如く「情けを報じる」情報番組の時代があった。地方で起きた些細な男女の痴情の縺れから起きた事件。下世話なテレビ3面記事は自分と対比させ、カタルシスを視聴者に与えた。 その圧倒的な「情け」の物語を永遠の「歌」にまで昇華させた、強いて言うならワイドショーミュージック「代理母」。当時じゃがたらやビブラストーン、ばちかぶり…などの音楽文脈から手に取り、「もしかしたらそうなったかもしれない」もう一つの人生の「物語」を疑似体験しながら誰にも言えずにコッソリと聞いていた。「秘め事」。まさに「面影ラッキーホール」を聞くことはエロ本を見る行為と同等なのだ。故にメジャー1STは不幸にも「自主規制」処分に見舞われ、さらに「歌」は神格化していく。その幻の1STに数曲加えて「代理母」として産み落とされた傑作。 今や日本の朝の顔、連ドラの主役たちまでもが熱唱する時代が来るとは発売当時、誰が想像しただろう。20年近く経ても色褪せないどころか、なお輝きを増す…もう「秘め事」に留めるわけにはいかない。(脇山浩一)
※本作品の収録曲はオリジナルCD盤より1曲カットとなります。ジャケット、歌詞カードの表記とは異なっておりますのでご了承下さい。
面影ラッキーホール / 音楽ぎらい-2
1999年発表。目を背けたくなるほどリアルな日常をファンクに昇華させた敬虔なる不謹慎。X-RATEDノワール・バンドの2ndアルバム!
最初に断言する。これは手にとっても針を落としてはいけない。ジャケットは上村一夫。その大手化粧品会社のポスター然とした、おしゃれなイラストの誘惑に負けてはいけない。渋谷系のレコードのように「ジャケ買い」にとどめ部屋に飾っておくのをお奨めする。メジャーセカンド「音楽ぎらい」。これを手に取ると本当に音楽を嫌いになってしまうかもしれない。本来歌謡曲が持っていた猥褻さだけを突き詰め、歌のテーマとして目を背けていた夜の世界、クスリ、DV‥といった現代社会のリアルな「男女の情念」の闇にスポットを当てた真実のダメ人間ファンク。抜群な演奏に裏打ちされた徹底した大人の不謹慎。それは唯一、面影ラッキーホールにだけに許された「不謹慎」なのである。小学生の子どもらと嫁の実家に帰郷する際に車内に突然流れる「ひとり暮らしのホステスが初めて新聞をとった」。「おらんだ花嫁」。ショーケン「54日間、待ちぼうけ」を愛する嫁でさえ「早く消して」と絶叫するトラウマドライブになることで実証済み。このアルバムは聞いてはいけないが、聞いていないことは本当に幸せでうらやましい。まだ「音楽ぎらい」を聞く人生の楽しみが残っているから。(脇山浩一)
※本作品の収録曲はオリジナルCD盤より2曲カットとなります。ジャケット、歌詞カードの表記とは異なっておりますのでご了承下さい。
アレルギー / El Dorado
1985年、解散と時を同じくして制作されたアレルギーの傑作アルバム!
85年の1月15日に法政大学学館大ホールでアレルギーは最後のステージに立ったが、それと前後してスタジオで録音。そのスタジオ・レコーディング音源と、スタークラブやE.D.P.S.、町田町蔵の人民オリンピックショウとともに出演した日比谷野外音楽堂における84年5月27日の“レベル・ストリート・ギグ”の時のライブで構成したのが、この『黄金郷(エル・ドラド)』だ。「『El Dorado(黄金郷)』は解散した後の〈記録〉としてではなく、あくまでもアレルギーの〈現在進行形〉として受け止めて欲しい」本作リリースの際に語った宙也のこの言葉が今でも有効なのは言うまでもない。(行川和彦)
p>【応募方法】
商品に封入されている応募要項チラシの応募券を切り取り5枚集めて52円切手を貼ったはがきに貼り、①郵便番号②住所③氏名④電話番号⑤性別⑥年齢⑦お買い上げ頂いた店舗・サイト名を明記の上、下記住所までお送りください。もれなくWAX RECORDSオリジナルLPサイズトートバッグをさしあげます。
【応募先】
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル7F
(株)徳間ジャパンコミュニケーションズ 販売促進部 WAX応募係
【応募期間】
2016年7月14日(木)~2016年9月30日(金)当日消印有効
【発送時期】
2016年8月~順次発送予定
※上記応募期間を過ぎてのご応募は一切無効となります
※応募券が5枚貼っていないものは無効となります。分けて応募する事はできません
※発送時期に関するお問い合わせには一切お答えできません
※ご応募にあたりご記入頂いた個人情報は、トートバッグの発送以外の目的で利用することはありません
●HMV record shop 渋谷
≪WAX GREAT REISSUE 2016キャンペーン≫
日本の80年代を代表するレーベルWAXの22タイトル再発を記念して、HMV recordshop渋谷では、≪WAX GREAT REISSUE 2016キャンペーン≫を開催。
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