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韻シスト「CLASSIX」OFFICIAL DISC & TRACK REVIEW

 


韻シスト「CLASSIX」
2016.6.15 Release


 
PUSHIMが徳間ジャパンの中に設立した新レーベル〈Groovillage〉に、強力なレーベルメイトが加わった。〈村長〉のPUSHIMの言葉を借りれば、〈村民〉第一号。それが韻シスト。
ご存知の通り、バンドでヒップホップを表現するスタイルの先駆者として、90年代後半から長く活動している実力派だ。しかも2003~2005年のEPICソニー時代に続く、10年以上ぶりのメジャーレーベル復帰。いわゆるミュージシャンズ・ミュージシャンとしての信頼感と、百戦錬磨のライヴ経験が生む良質な音楽が、再び大きな注目を浴びる時が来た。


 
この作品を届けるために、こんなにたくさんの人が動いてくれてるんや、ということに感動してます。すごくうれしい。その気持ちに応えられたらいいと思うんですけど、頑張るしかないです」(Shyoudog)

「インディーにはインディーの良さがありますけど、自分たちでアピールしないと、なかなか届かないところがあったんで。メジャーではこうやってインタビューさせてもらう機会も増えますし、それを通しても僕らも、どんな作品やったかを客観的に感じることもできますし」(BASI)


近年は、2014年10月リリースのChara×韻シスト「I Don’t Know」、そして2015年4月リリースのPUSHIM×韻シスト「Don’t Stop」と、コラボ・シングルが連続ヒット。新たなリスナーを獲得することにも成功した。その2曲を含め、満を持してリリースするのが、2年8か月ぶりのニューアルバム。CLASSIC(最高水準の、古典的な)と、6枚目のアルバムを意味するSIXを掛け合わせた、『CLASSIX』だ。
 
「トラックは100を超えてた中からチョイスして、レコーディングして、そこからまた選んでアルバムに入れたので。1曲ごとのバラエティは、めちゃめちゃ考えました」(Shyoudog)

「曲の始まり方も終わり方も、つながりも曲間の秒数も、揺るぎのないものを作ろうと。CDを買った人が“これは名盤や”と思うようなものにしようと思ってました。今が何年だろうが、どんなに歳月がたとうが、僕の中で韻シストは、アルバム・アーティストでありたいんですよ。だからこそ、ここで1枚、クラシックなものを作りたいという思いがすごく強かったです」(BASI)
 


JAZZはお父さん/SOULはお母さん/間に生まれたオレらはHPHOP。―-意表を突く華麗なオーケストレーションに乗せ、バンドのアイデンティティをズバリと言い切る1曲目「Theme of CALSSIX」から始まる、13曲のグルーヴ豊かな音楽の旅。1曲のアイディアの質の高さ、そこに込めた音楽への愛情の深さに、気楽に楽しみながらも胸が昂ぶる気持ちを抑えられない楽曲がずらりと並ぶ。特にリード曲「ひょっとしたら」「PARTY SIX」の2曲で聴ける、オールド・フレイヴァーなファンク/ソウルのニュアンスは、現在の洋楽ヒップホップやダンスミュージックのシーンとも、ごく自然にシンクロしている。

 
「それこそマーク・ロンソンが売れた時に、“これ、俺らがずっとやってきたことやで”という感じがあって。別にそれが流行ってるからとかじゃなくて、ただ普通にずっとやってきたことやから、“俺らの時代、来たかもな”って思ったんですよ。「PARTY SIX」や「ひょっとしたら」には特にそういう気持ちがあって、アルバムの顔になる曲という意識があります」(Shyoudog)
 


ただ普通にずっとやってきたことが、時代とシンクロするという至福。『CLASSIX』は韻シストの最高傑作というだけではなく、ファンクやヒップホップなどグルーヴのある音楽を愛する人はもちろん、ジャンルを超え、音楽に心を揺らした経験のあるすべての世代に届いてほしい、届くべき逸品だ。
 
「“これを毎朝、出勤とか通学とかで聴いてくれるんやろな”ということをイメージして作ったので、生活の中で聴いていただけたらと思いますね。時間があれば家でがっつり聴いてほしいですけど、流れはすごく考えたので、BGMとしても行けると思う」(BASI)

「昔、僕がCOMMONを家で聴いてた時に、ヒップホップをまったく知らない母親が“これ、めっちゃかっこええわ”って言ったんですよ。確かに曲はおしゃれでラップも素晴らしいんですけど、そんなことはわからなくてもやっぱりかっこええんやなと。それが僕の中で“韻シストはこう聴かれたい”という基準になってるんですね。“ヒップホップって何?”っていう人にも“これ、かっこええわ”という聴かれ方をしたいので、『CLASSIX』がそういうアルバムであってほしいと願ってます」(Shyoudog)


 

TRACK REVIEW
 

 

 

【Theme of CALSSIX】
「タイトルの通り、僕らがテーマに掲げていることをそのまま歌ってる。これが僕らの音楽の表現のベーシックです」(Shyoudog)

「いわゆるヒップホップを1曲目にしたくなくて、オーケストラを入れて、真ん中に俺らがいるイメージ。ずっと聴いてくれた人が“あれ? CD間違えたかな?”と思ってくれたら成功です」(BASI)

 
【PARTY SIX】

「90年代のテイストは大事にしていて、あの頃のキラキラ感を出したい気持ちがすごくある。僕らがクラブに遊びに行っていた、あの頃の風景を思い浮かべながら作った曲。僕の体験したパーティー感です」(Shyoudog)

「アルバムの中で一番好きな曲。イントロもアウトロも、発想込みで全部がいい」(BASI)

 

【ひょっとしたら】

「音楽に限らず、続けることはすごく難しいんですけど、「ひょっとしたら」というワードがあれば、もうちょっと頑張ることができる。今の僕らにすごくマッチした曲で、これがみんなの応援歌になってくれたらうれしいです」(Shyoudog)

「たとえば彼氏や旦那さんで、自分の好きなことをずっとやっている人がいるとして。その彼女や嫁さんに“あんた、いつまで続ける気なん?”と言われた時に、爆音でこの曲をかけたらいいと思います」(BASI)

 

【オ~シッ!】

「PUSHIM姉さんも“これ、いいね”と言ってくれた。アルバムの顔になる1曲」(Shyoudog)

「このフック(サビ)がすごく好きです。大阪弁の感じとか、こういうのをOKにしてくれるメンバーも含めて、全部うれしかった」(BASI)

 

【GALAXY BAND】

「僕らのルーツの一つであるジャズネタ。こういうテイストはアルバムに絶対入れたいんですよ」(Shyoudog)

「フックのイメージは、最初のメジャー時代の韻シスト。年齢や経験を積んで、同じようなフックでも渋みが出たと思うし、さらにクールになった韻シストを感じてほしいです」(BASI)
 


【COOL&SWAG】
「TAKUの持ってるキャッチーなメロディセンスがすごく出てる。僕はこのアルバムで何曲か歌わせてもらってますけど、このメロディが一番好き」(Shyoudog)

「SWAG(ヒップホップのスラングで“魅力的な”)という言葉と、808(リズムマシン)の音と、スクリュー(トラックをスローダウンさせる手法)とか、現行のヒップホップ要素もきちんと押さえてるのが、韻シストとして新しいところ」(BASI)

 

【Tear Stains】

「自分が歌う曲を1曲入れることは最初から決まっていたので。ソウルフルな曲を作らなあかんって、頑張りました。歌詞は、すごくリアルなエピソードがそのまま歌詞になってる。家族とか、大切な人を思う曲です」(Shyoudog)
 


【Gimelou】
「Give Me Loudと書かずに、あえてスラングっぽく“ギミラウ”にして。このメロディもTAKUで、すごくキャッチー」(Shyoudog)

「沖縄でのレコーディングがスムーズに進んだんで、最後に1曲歌詞を書こうかと。一晩で書いて、次の日にすぐ録った、至福の時間でしたね」(BASI)

 

【No Idea】

「ほんまに “No Ideaやわ~”というところから作り始めた(笑)。アイディアはないけど、むちゃかっこいいファンキー・シットを作るからな、という曲」(Shyoudog)

「アルバムで一番最初にレコーディングした曲なんで、自分のラップは少し青く感じる。でもその時しか出せないものだから、いい時に録れたなと思います」(BASI)
 


【With The Beer】
「僕の曲、全部そのままなんですよ。ビールほしいと言ってるだけ(笑)。やばいビートとビールがあればええ感じになれる、という曲」(Shyoudog)

「ループ色が強い中、サッコンのヴァースの“雨も止んだ”というワードをきっかけに、トラックが展開していく。そこがハイライト」(BASI)
 


【STILL No.1 CHAMPION】
「レコーディング中にラップのスキルがすごいことになっていって、その集大成がこれ。“これかっこよすぎるわ”って、涙出てきた。自分たちの曲で、かっこよすぎて泣いたのは、初めてかもしれない」(Shyoudog)

「韻シストがどこに行こうがどれだけ大きくなろうが、こういう古き良きヒップホップの、自分をレぺゼンする曲は毎回入れていきたいです」(BASI)

 

【Don’t Stop (classix remix)】

「もともと韻シストで曲を作ったんですけど、PUSHIMさんと一緒にやることが決まった時に、“ちょうど歌ってほしい曲があるんです”と。ちょうどPUSHIMさんみたいなハスキーな声の女性に歌ってほしいなという話をしてたので、ばっちりはまりましたね」 (Shyoudog)
 

【I Don’t Know (classix remix)】

「これもストックしてあった曲で、この企画が出てきた時に“Charaさんに合うかも”と」(Shyoudog)

「Charaさんは基本的に自分で書いた歌詞しか歌わないんですけど、“バシのリリックやったらいいよ”みたいなことを言ってもらったんですよ。Charaさんに歌ってもらえて、うれしかったです」(BASI)