【各曲解説】
1. もう二度と・・・ / BENI
2008年、童子-Tのヒット・シングル「もう一度…feat. BENI」のアンサーソングとして配信リリースされた話題曲。アコースティック・タッチのギターとピアノのやさしい音色、BENI特有のやわらかい歌声が耳をくすぐるミディアム・ナンバー。もう二度と帰れない<あの日々>に想いを残したまま、一歩を踏み出すことができない。そんな寂しさに震える心情を描く。
2: I LOVE YOUが言えなくて / MAY'S
ヴォーカル片桐舞子と、トラックメーカー河井純一 a.k.a. NAUGHTY BO-ZによるユニットMAY’Sの2009年発表シングル曲。告白できず、どうにもならない想いをぶつけた片想いソング。サビの畳み掛けるようなストリングスが、感情の高ぶりを演出。ラストのフレーズ<誰のものにもならないで>に向かうエモーショナルなヴォーカルが印象的だ。
3. また出逢えたなら・・・duet with HanaH / KG
倍音の効いた黒い歌声が素晴らしい男性シンガーKGが、女性シンガーHanaHと圧巻のデュエットを披露。2010年の初アルバム「Songs of love」に収録。別れたことを悔やむ2人の想いが交差するかのように、メイン・パートとコーラスとで歌い手2人の声が常に交差している様子が絶妙。クライマックスのソウルフルな歌い回し、ラストのフェイクに鳥肌。
4. 同じ空みつめてるあなたに / Spontania feat. AZU
MassattackとTarantulaからなるユニットSpontaniaの2009年シングル曲。2人のメロディアスなフロウに、女性シンガーAZUのシャイニーな歌声が絡む。オリエンタルなピアノの旋律と、琴線を刺激するドラマティックなコード展開、<運命の人>を綴ったリリック……<枯れ葉舞い散り/淡く染まる紅>というフレーズなど、夢心地な情景が浮かぶ1曲。
5. If I Can't Have You / 宏実
虹色の歌声を持つシンガーソングライター宏実。裏打ちリズムをなぞるような溜めのメロディーに、さすがのR&Bマナーを感じさせる珠玉のバラードは、2011年発表のセカンド・アルバム「Magic」収録曲。ウィスパー・ヴォイスから、高音ファルセットまで、彼女ならではのレンジの広いヴォーカル技を堪能できる。豊潤なコーラス・ワークも聞きどころ。
6. 好きでいさせて / Tiara
澄みきった泉のように曇りのないピュアな歌声が魅力のシンガーTiara。2010年発表ファースト・アルバム「Message For You」からのチューンは、好きな相手に自分の想いを伝えられないもどかしさを描いた1曲。まるで日記のように、素直な気持ちを直球で吐き出したリリックが可愛らしい。一言一言大切に歌い上げていく真摯で丁寧なヴォーカルが耳に残る。
7. 会いたくて、素直になれなくてfeat. 中村舞子 / CLIFF EDGE
Lyrics: JUN, SHIN, 中村舞子/ Music: JUN
MCのJUN、SHIN、DJ GEORGIAからなるヒップホップ・ユニットCLIFF EDGEが、現在19歳の新世代シンガー中村舞子をフィーチャー。タイトルどおり、素直になれない男女の“縮まりそうで縮まらない距離”を描く。2人の男らしいフロウと、中村舞子の今にも泣きそうなヴォーカルの絡みが印象的。2010年のサード・アルバム「Re:BIRTH」に収録。
8. Ocean’s Love / Fire Lily
2010年、“絶望の大地に希望を運ぶ花”=Fire Lilyに改名し、デビューを飾ったシンガー。ファースト・アルバム「Eternal Story」からの1曲は、海が舞台のロマンチックなデートを描き、<今だけあなたに甘えて側にいたい>と愛する人への想いをストレートに綴ったラブソング。生命力に満ちたパワフルなヴォーカルが冴え渡るドラマティックなバラード。
9. さよならの前に / MIHIRO ~マイロ~
男性ヴォーカルトリオF.O.HのリードシンガーHIROとしてR&B黎明期から、その美声を響かせてきた本格派。本曲は、USの名プロデューサー、テディ・ライリーによって命名されたMIHIRO名義でのセカンド・アルバム「New Edition」より。リズムに気持ちよく載せた言葉運び、遊び心満載のメロディー、表情豊かなヴォーカル……すべてに惚れ惚れ。
10. Bitter Sweet / 傳田真央
99年にデビュー、R&Bシーンにその名を刻む実力派シンガー。活動休止を経て、2009年、傳田真央名義として7年ぶりに発表したシングル曲がこちら。透明感あふれる歌声で、代名詞ともいえる美しいファルセットをふんだんに披露、洗練されたコーラス・ワークなど、その類稀な才能を改めて確認した1曲。切なさ伝わる“泣き”のビブラートが沁みる。
11. 逢いたくて… feat. CHIHIRO / SHIKATA
男らしい熱いソウルと、伸びのある高音が魅力的なスウィートな歌声。自身のスタイルを“Sweet Soul”と掲げるSHIKATA。別れた後、なぜかしばらく時間が経ってからわかる相手の良さ。でも今となっては……そんなどうにもならない儚い想いを女性シンガーCHIHIROと共に切なく歌い上げる。2010年に発表したミニ・アルバム「My Place」収録曲。
12. Diary / 8utterfly
2011年3月にアルバム「Diary」にて、デビューを飾った8utterfly(バタフライ)。その表題曲となった本曲は、大事な人との月日を綴った回想録。ピアノ一本で語りかけるようにそっと歌い始め、中盤から別れを決意し、複雑な想いを吐き出すにつれヴォーカルも高揚していく。シンプルなトラックゆえにヴォーカリストとしての素の魅力が堪能できる仕上がり。
13. Toy Diamond Ring / CIMBA
ブラジル、アメリカ、日本という3ヶ国のバックグラウンドを持ち、NYではブライアン・マックナイトなどの前座も務めるなど、確かなキャリアを持つCIMBA。憂いのあるハイトーン・ヴォイスがなんともイイ味なこの美曲は、2010年発表のセカンド・アルバム「Words and Notes」に収録。歌で愛を囁く――そんなR&Bの醍醐味を味わえる極上バラード。
14. The Past Day / Noa
仙台を拠点に活動する女性シンガーNoa。レーベルメイトのヒップホップ・ユニットLGYankeesがプロデュースを手掛けた2010年発表のサード・アルバム「Noaism」に収録されたチューン。ドラムが畳みかけるロック・テイストなトラックの上で、凛としたヴォーカルが冴え渡る。まだ<あなたでいっぱい>な苦しい胸の内を描いたラブソング。
15. 切ないくらい、愛してた。 / Lisa Halim Feat. JAY’ED
インドネシア人の父と日本人の母を持つ女性シンガーLisa Halim。2008年にサード・シングルとして発表された本曲は、“魔法のiらんど”ケータイドラマ「teddy bear」主題歌としても話題に。タイトルどおりの過去の想いを高音ヴォイスで切なく歌い上げるLisaに、JAY’EDがジェントリーなフェイクで絡む。生音をフィーチャーした壮大なバラード。
16. あなたの隣に… / 山口リサ
活動14年目のシンガーソングライター。2010年の4枚目のアルバム「Explosions」に収録されたバラードで、中盤あたりから徐々に<あなたの隣にいたときよりもっと幸せになってみせるよ>と前向きに変化していくリリックが印象的。ときに力強く、ときに儚く、過去を想い出に変えて第一歩を踏み出そうとする葛藤を表現した感情豊かなヴォーカルが胸に響く。
text by 岡部徳枝