人間椅子 全公演SOLD OUTさせた秋の全国TOUR!
レア曲も多数披露し大熱狂を巻き起こしたTOUR FINAL@EX THEATER ROPPONGIで幕を閉じる!



そして、寂しげなベースが響くと、「狂気山脈」を披露。緑の照明が楽曲の妖しさを増幅させ、和嶋によるテルミンも再び活躍。緩急に富む物語性のある曲調で、和嶋&鈴木のツイン・ヴォーカルでハモる場面も迫力十分であった。切れ味鋭いナカジマのドラミングに引き込まれる「時間からの影」をやり終えた後、「知らない曲は座ってもらって構わない」と、鈴木が観客を気遣う場面もあった。それから「地方の祭りには特色がある」と和嶋が切り出し、必然的にメンバーが大好きな地元・青森の「ねぷたまつり」のトークをたっぷり。その流れで弘前の「菊人形まつり」に着想を得た「菊人形の呪い」をプレイ。ヘヴィなリフとグルーヴで場を盛り上げると、昨年出た最新22thアルバム『苦楽』から「宇宙海賊」を放つ。冒頭の2曲同様に、スペーシーな色合いを深めたヘヴィな曲調はライヴでも一段と映え、会場の熱気を高めていった。
ここで鈴木がアメリカの怪奇小説家H.P.ラブクラフトの小説を読んでいる話を挟み、「狂気山脈」、「時間からの影」と今日披露したラブクラフト・インスパイアの楽曲に触れつつ、くどくてなかなか本題に入られない「あの文体を想像して、歌って弾いている」と和嶋が言うと、難曲「ダンウィッチの怪」を投下。じりじりと曲が進行し、後半は鈴木の高笑いを含めてドラマチックに展開する流れは鳥肌モノであった。引き続きヘヴィな「黒い太陽」をプレイした後、和嶋と鈴木に並んで、ナカジマが明日で56歳の誕生日(9月20日)を迎えることにも言及。加えて、「14歳の頃、鈴木くんがKISSのレコードを貸してくれた。レコードを介して友達になれた」と和嶋が思い出を語り、人間椅子のオリジナルアルバム5タイトル(『人間失格』、『桜の森の満開の下』、『黄金の夜明け』、『羅生門』、『二十世紀葬送曲』)が初めてアナログ盤として12月3日に発売されることを告知。これまで出ていなかったのが不思議なくらいだが、ファン垂涎の祝・レコード化に会場も沸いていた。

「明日、僕は56歳で、それ以前からずっと赤いふんどしです!」とナカジマによるMCタイムが訪れ、兄貴自らリード・ヴォーカルを務めた「蜘蛛の糸」に入る。男臭くも荒々しい兄貴のシャウトにテンションは上がる一方、後半の鬼気迫るドラムにも圧倒されるばかりだった。本編は「地獄の料理人」、「天国に結ぶ恋」、バッジーの日本語詞カヴァー「針の山」で盛大なるフィニッシュを決めた。
「あっという間にアンコールで、あと1時間くらいやりたいところ」と、疲労の色を微塵も見せない和嶋。アンコール一発目はまたもやラブクラフト・インスパイアの「宇宙からの色」を披露。勇壮なメロディで観客を焚きつけた後、三三七拍子のリズムをリフに用いた「地獄風景」では1、2階のフロアまでジャンプする景色が広がっていった。ここで一旦ステージを去り、Wアンコールに応えると、ナカジマの誕生日を祝うべく、スタッフが56の数字型風船とケーキを本人に手渡し、和嶋が「Happy Birthday To You」を歌う。それが終わると、ナカジマはロウソクの火(*消防法の関係でロウソクの火は付いていない)を消す仕草をして、大勢の観客から祝福されていた。そして、最後は超絶ヘヴィな「どっとはらい」を解き放ち、ファイナル公演は約2時間20分に渡る熱演で大団円を結んだ。
そう言えば、和嶋はライヴ序盤に「人間椅子検定クイズ」と口にしていた。まさに定番曲に止まらず、変化球や隠し球的な楽曲を容赦なく織り込むことで、新たな表情やダイナミクスを獲得した見事なショウ構成となっていた。頑固一徹ハードロックにこだわり続けながら、これほど豊潤で奥深いヘヴィネスを体現しているバンドは他にいないだろう。改めて、人間椅子の不気味な吸引力に骨抜きにされた一夜であった。 PHOTO:ほりたよしか TEXT:荒金良介
<TOUR FINAL公演セットリスト>
SE. 新青年まえがき
1. 鉄格子黙示録
2. 侵略者
3. 表徴の帝国
4. 狂気山脈
5. 時間からの影
6. 菊人形の呪い
7. 宇宙海賊
8. ダンウィッチの怪
9. 黒い太陽
10. 無情のスキャット
11. 蜘蛛の糸
12. 地獄の料理人
13. 天国に結ぶ恋
14. 針の山
EN1-1. 宇宙からの色
EN1-2. 地獄風景
EN2-1. どっとはらい
-画像ギャラリー-
「杜子春」Music Video
◇人間椅子オフィシャルHP
◇徳間ジャパン人間椅子Information
リリース情報!
LPアナログ盤×5タイトル
発売日:12月3日(土)
■「人間失格」(※オリジナルCD発売日:1990年7月21日)
全11曲収録<2枚組>
品番:TKJA-10111 価格:定価¥6,200(税込定価)
■「桜の森の満開の下」(※オリジナルCD発売日:1991年3月13日)
全10曲収録<2枚組>
品番:TKJA-10112 価格:定価¥6,200(税込定価)
■「黄金の夜明け」(※オリジナルCD発売日:1992年6月21日)
全11曲収録<2枚組>
品番:TKJA-10113 価格:定価¥6,200(税込定価)
■「羅生門」(※オリジナルCD発売日:1993年10月21日)
全9曲収録
品番:TKJA-10114 価格:定価¥4,000(税込定価)
■「二十世紀葬送曲」(※オリジナルCD発売日:1999年3月25日)
全10曲収録<2枚組>
品番:TKJA-10115 価格:¥6,200(税込定価)
ライブ/イベント情報!
■「日野フェス~日野日出志画業55周年記念~」
日時:9月27日(火)
OPEN17:15 / START18:00
場所:[東京] Spotify O-EAST